バイオテクノロジー。聞いたことがある方もおられるでしょう。
植物の世界、とりわけ胡蝶蘭の世界はその技術をフルに使っています。
「子孫を残す」で言っているように、胡蝶蘭はタネから育てることは品種改良のときくらいしかありません。
ですから、バイオテクノロジーを使って人工的に増やすことになります。
その技術を使って作られるのが、メリクロン苗です。
これは優秀な花の成長点(最も細胞分裂が盛んな場所)から取り出した細胞を、フラスコの中で無菌の状態で繁殖させたもので、元の花と遺伝上まったく同じもの(クローン)を作るというものです。
花の大きさ、色、形、並び、日保ち、病害虫に対する強さなど、あらゆる点で優秀な花が新品種として多量に増殖されます。
とはいえ細胞を培養して、植え付けできる大きさの苗(左の写真)に育つまで約1年かかります。
そこから出荷までは、さらに約2年。
3年という、長い時間を必要とします。
しかも全工程3年間のどこかひとつでも狂うと、いままでかけたお金や努力はすべて台無しになるのです。
そんな過程を経てようやく胡蝶蘭はお客様にお目見えすることになるのです。
ちなみに、今の技術では細胞培養から時間を短縮して2年で花を咲かせることも可能ですが、手間隙をかける農家はやはり3年かけます。
3年かけたほうが、株がたっぷりと栄養を蓄えることになり、それだけ花が咲いてから長もちするようになるためです。
バイオテクノロジーと生産農家の知識・技術、そして何よりたゆまない努力。
最高品質の胡蝶蘭は、まさにそれぞれの結晶なのです。